令和元年度 開発協力プレスツアー(ザンビア)の実施

令和元年10月4日
インタビューを受ける側嶋大使
 

 当館は2019年9月11日(水)から9月13日(金)にかけて,中央州においてザンビア・メディア向けプレスツアーを実施し,これに4新聞社,2TV局及び1ラジオ局の計8名の記者等が参加しました。このプレスツアーは,日本の開発協力が現地メディアで取り上げられる機会を増やすとともに,ザンビアの政府関係者,知識層及びザンビア国民への情報発信を強化するためのものです。

 プレス一行は,首都ルサカにある国立科学センターのほか,約150km離れた中央州のカブウェ郡をはじめ,カピリムポシ郡,チボンボ郡及びムクシ郡を訪れ,「アフリカ域内理数科教育における授業研究の知見を通じた教授法の改善」,「教員養成校と学校現場との連携による教育の質改善プロジェクト(IPeCK)」,「貧困削減戦略支援無償資金協力」,「品質・生産性向上(カイゼン)展開プロジェクト」,「電力アクセス向上事業」及び「青年海外協力隊」に関して関係者や受益者から話を聞いたり,実施現場の視察を行いました。
 
 1日目の様子
 
 9月11日には,在ザンビア日本大使館で参加プレスに対して,当館職員及びJICAザンビア事務所から中央州で実施中の事業及び本ツアーで訪問する事業の概要についてブリーフィングが行われました。その後,ルサカ市にある国立科学センターを往訪し,日本で教員の授業実践能力の向上のために行われている授業研究をJICAが第三国研修として周辺国も含めて知見の共有を行っている「アフリカ域内理数科教育における授業研究の知見を通じた教授法の改善」,教員養成校と教員の能力向上を行う「教員養成校と学校現場との連携による教育の質改善プロジェクト(IPeCK)」及びモバイルサイエンスラボやグラフボード等の授業教材の調達や教員向け研修施設の建設を目的に無償資金を拠出している「貧困削減戦略支援無償資金協力(PRS無償)」について説明を受け,教材製作現場や建設中の研修棟の視察を行いました。

 午後には,ムシャンガ中央州大臣への表敬訪問を行い,側嶋大使から本ツアーの趣旨を説明した後,中央州における日本の開発協力や企業の活動について意見交換が行われました。ムシャンガ大臣からは,これまでの日本のザンビアに対する協力に対して謝意が述べられ,中央州に更に多くの日本企業が来て投資を行うことに期待が寄せられました。
 
          
          NSCにおける教材製作現場の視察 NSCにおける研修棟の視察 中央州大臣への表敬訪問

 2日目の様子
 
 9月12日午前には,ムクシ郡において,青年海外協力隊としてムクシ・デイ・セカンダリースクールで中学生に理科を教えている高橋隊員による授業風景を視察し,また,同隊員に対するインタビューが行われました。高橋隊員は,図,模型や動画等の視覚的に学ぶことが可能なツールを用いて,生徒がより授業を理解しやすくするよう,また,生徒が理科により関心を持ってもらうよう心がけて授業を行っています。午後には,カピリムポシ郡で有償資金協力「電力アクセス向上事業」で建設された配電網を通じて電気の供給を受けている622人の生徒が在籍するルカンダBプライマリースクールや近隣民家を視察し,ハチブーラ校長は「電気が供給されるようになったおかげで,以前はできなかったコンピューターや科学の授業ができるようになった。薄暗い時でも生徒が学習できるようになったし,大人向けの識字教育も始める予定である。」と話しました。また,電気が供給された民家の親族であるシンベイェさんは「家族はより収入を得られる多くの仕事ができるようになった。電気があるので新鮮な魚を売れるようになり,携帯電話の充電に係る費用も少なくなった。」と事業でもたらされた生活の変化について語りました。
 
          
          導入されたモバイルサイエンス 高橋隊員の授業 高橋隊員へのインタビュー

 その後,カブウェ郡にあるルカンガ上下水道公社を訪問し,カイゼン機構のンククンバニ氏から,官民両セクターで質及び生産性の向上を行う「カイゼン」の哲学及び手法について,また,シニャングウェ同社社長と同社のトゥワーンボ・カイゼンコーディネーターより,同社ではどのように「カイゼン」が導入され,どのような成果を上げているのか説明を受けました。シニャングウェ社長は,「カイゼン」が無収水のような水道事業における損失の削減に貢献してきたこと,同社の社員が日本政府と日本の人々の親切に助けられていることを喜んでいると述べられました。
 
          
          ハチブーラ校長へのインタビュー 電気が使えるようになった民家 説明を行うシニャングウェ社長

 3日目の様子
 
 9月13日には,草の根・人間の安全保障無償資金協力(草の根無償)を通じて,教室や職員室の建設,備品や自動車整備に係る訓練機材の調達を行ったカブウェ職業訓練校を訪問し,シムワンガラ校長から,同校の概要とともに草の根無償によりどのような効果が得られているか説明を受けました。シムワンガラ校長は,自動車整備訓練機材や施設の更新が,質の高い授業に繋がったこと,及び,日本に対する感謝を述べました。また,同校でPCインストラクターとして活動している青年海外協力隊の石川隊員に会い,インタビューを行いました。石川隊員は,同校で,将来生徒が実務でパソコンを使うことができるよう指導をしており,生徒が卒業後に学んだことを活かして経済及び社会に貢献することを期待しています。

 その後,チボンボ郡にあるチボンボプライマリースクールにおいて,初日に国立科学センターにて概要説明を受けた授業研究が,学校レベルでどのように行われているのか,同校のポンダニ校長や教員から説明を受けるとともに,同校の教育効果を高めるための取り組みを視察しました。
 
          
          調達された自動車整備機材 石川隊員へのインタビュー チボンボプライマリースクール視察

 プレスツアー後,各紙,テレビ及びラジオで多くの報道がなされました。2紙では,1ページ全てを使って,本ツアーに関連した記事が掲載され,我が国の開発協力事業が取り上げられました。本ツアーの実施により,首都ルサカ近郊だけでではなく,ザンビアの地方部においても日本の支援が実施されており,また,それらがザンビアの経済開発とザンビア国民の生活の向上に寄与していることについて,多くのザンビアの人々に理解を深めていただいたのではないかと考えられます。
 
関連リンク(外部サイト)
1.プレスツアー後に掲載された主要紙記事
(1)Daily Nation:Remain focused, Japan urges Zambia
(PDFファイル: 依然重視している,日本がザンビアに力説,2019年9月12日)
(2)Zambia Daily Mail:Japan hails Zambia’s austerity measures           
(PDFファイル:日本はザンビアの厳格な措置を賞賛,2019年9月13日)
(3)Times of Zambia:More Japanese investment needed in Central Province
(PDFファイル:中央州にはより多くの日本の投資が必要とされている,2019年9月13日)
(4)Zambia Daily Mail:Japan launches science centre
(PDFファイル:日本が科学センターを開所,2019年9月14日)
(5)Daily Nation:Japanese firm to create 3,000 jobs
(PDFファイル:日本企業が3,000人の雇用を創出,2019年9月14日)
(6)Zambia Daily Mail:Japanese textile firm coming
(PDFファイル:日本の繊維工場が来る,2019年9月16日)
(7)New Vision:JICA invest big at National Science Centre
(PDFファイル:日本が国立科学センターに大きな投資,2019年9月16日)
(8)New Vision:Kabwe Institute of Technology in a Japanese boost
(PDFファイル:カブウェ職業訓練校は日本の支援を受けた,2019年9月16日)
(9)New Vision:Change for better’ philosophy spurs Lukanga water
(PDFファイル:改善のための変化の哲学がルカンガ上水を奮起させる,2019年9月16日)
(10)New Vision:Outgoing Japanese ambassador Sobashima talks high about Zambia
(PDFファイル:離任する側嶋日本大使はザンビアを評価,2019年9月16日)
(11)Zambia Daily Mail:Japanese envoy bids farewell
(PDFファイル:日本の特命全権大使が別れの挨拶,2019年9月17日)