令和6年度NGO連携無償資金協力「ルサカ郡における結核診断技術の向上を通じた結核対策プロジェクト(第3年次)」贈与契約署名式

令和7年2月28日
  

 2025年2月28日、令和6年度日本NGO連携無償資金協力「ルサカ郡における結核診断技術の向上を通じた結核対策プロジェクト(第3年次)」の贈与契約署名式が執り行われ、竹内一之大使と公益財団法人結核予防会(JATA)(署名者:現地代表 田中悠太)との間で、378,766米ドルを限度とする贈与契約が締結されました。
 
 本事業は、3か年の活動期間中、ルサカ郡マテロ地区及びチレンジェ地区の4か所の保健医療施設における結核診断・管理の強化を支援し、医療従事者への能力強化研修を実施するとともに、新たに1か所の医療施設にデジタルX線機器を供与し、結核の早期発見と完治を目指すものです。
 
 ザンビアはWHOが定める「結核高蔓延国」に指定されており、年間約5.9万人が結核に罹患しています。そのうち約30%は診断されないまま放置され、周囲への感染拡大が懸念されています。ザンビア政府は、第8次国家開発計画(8NDP)の中で結核を含む感染症対策の強化を掲げ、国を挙げて継続的な取組を進めています。しかし、HIVとの重複感染や患者発見の遅れによる結核の重症化・集団感染が依然として課題となっており、早期発見と早期治療の促進が急務となっています。
 
 昨年度までに実施された第1年次及び2年次事業では、富士フイルム社製X線機器の供与に加え、AIによる画像診断機能を導入するとともに、X線撮影や読影技術の向上を目的とした医療従事者向けの研修や現地ボランティアの育成活動を実施しました。地域住民からは、遠方の医療施設に行く必要がなくなり、医療アクセスが向上したことで大きな恩恵を受けることができるとの声が寄せられています。
 
 今回の第3年次事業は、事業の最終段階にあたり、昨年から続く当地の深刻な干ばつ被害に伴う電力不足への対応として、X線機器を安定的に稼働させるためのソーラーパネルを設置します。また、医療従事者への能力強化研修に加え、コミュニティにおける結核予防の啓発活動や患者訪問による治療ケアを継続し、結核対策サービスの質・量の両面での向上を図る予定です。
 
 日本政府はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向け、今後も支援を継続していきます。