ザンビアで巡回医療活動を行う日本人医師からの活動報告

令和元年6月10日

 5月23日,ザンビアの辺地医療を支援する会(ORMZ)の山元香代子医師から,側嶋秀展在ザンビア日本大使に対し活動の報告がありました。この報告は,4月1日に,ORMZがトヨタ・ザンビアと日立建機ザンビアからトヨタ・ランドクルーザー1台の寄贈を受けた(4月11日掲載当館ホームページ記事ご参照)後の活動についての説明でした。
 山元医師は,2011年からチサンバ郡ルアノ地区で巡回診療を開始し,2012年には同医師の活動を支援するためにORMZが設立されましたが,2018年までに同医師はチサンバ郡(ルアノ地区,ニャンカンガ地区,サンダラ地区,等)及びルアノ郡(リテタ地区)において3万人以上の患者の診察・診療を行ってきています。
 厳しい道路状況により所有していた車が故障したことを受けて,本年4月1日に上記日本企業が,ORMZに車を寄贈したものですが,その後の活動について山元医師から側嶋大使に以下のような報告がありました。
 
「4月10日,ルアノ地区を巡回診療。クーラーが効き,埃が車の中に入らず,快適な道行。患者は95名。93名中9名(9.7%)がマラリア陽性。
 
4月17日,ニャンカンガ地区の巡回診療を予定し(ザンビア来訪中の)三重大学と藤田医科大学の医学生5人が同行も,同地区の一歩手前の川が増水していて,車で渡ることができず,巡回診療を断念。医学生には申し訳なかった。
 
4月24日,前週に行けなかったニャンカンガ地区で巡回診療。患者は80名。
78名中11名(14.1%)がマラリア陽性。マラリア患者数が増えてきている。
 
5月2日,パジェロもレンタルして,サンダラ地区で巡回診療。患者は76名。76名中20名(26.3%)がマラリア陽性。帰路,川でランドクルーザーがスリップして出られなくなり,全員で種々対策を試みて,約1時間の後ようやく脱出。その後,肺炎の乳児の搬送も行い,ルサカ帰着はほぼ24時。
 
5月8日,ルアノ地区を巡回診療。患者は109名。108名中21名(19.4%)がマラリア陽性。コミュニティヘルスワーカーに検査キットとマラリア薬を渡して乗り越えるしかないと考える。
 
5月15日,リテタ地区で巡回診療。午前3時半に,ランドクルーザーとレンタル車で,ルサカを出発。道なき道を,帰りに迷わないように,立木に印をつけて,進んだ。リテタ地区のネイバーフッドヘルスコミッティの委員長の家を診療の場として提供いただいた。患者は164名。164名中92名(56.1%)がマラリア陽性。妊婦のマラリア陽性も6名。5-6人の家族全員が陽性という家庭もあり。また,近くの川を生活用水として使っていることなどから,腹痛を訴え腹部膨満の寄生虫感染を疑われる患者が29名,血尿を訴えるビルハジアの患者が11名。診療が終わったのが19時,最後は車のライトをつけ,ソーラーライトや懐中電灯を使っての作業となった。住民に準備いただいたシマを大急ぎで食べて,帰路に就き,ルサカ着は翌日の午前2時。
 
このように,ザンビアには,最寄りのヘルスセンターが遠く,予防接種の機会も少なく,多くの人がマラリア等で亡くなる地区が,沢山ある。私たちにできることは限られており,また,雨季には診療に行くのが困難になるが,道路状況が許す限り,診療を続けようと思っている。」
 
 ORMZは,同団体の活動に賛同する方々から寄付を得て活動を行っていますが,側嶋大使は,山元医師を中心とするORMZの活動を高く評価し,日本大使館としても今後どのような支援を行うことが可能か検討していきたいと述べました。
 
ORMZの活動については,以下のホームページでご覧になれます。
http://ormz.or.jp/