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ザンビア便り第2回 資源国ザンビア
ザンビアは、銅をはじめとして、コバルト、鉄、金、ウラン、マンガンなどの鉱物資源に恵まれた国です。石油・天然ガスも有望視されています。鉱物資源の豊かさは国旗にも表されています。ザンビアの国旗を見ると、右下に赤、黒、オレンジ色の3色の部分がありますが、このうちオレンジ色は鉱物資源、特に銅を表しているのだそうです。なお、赤は自由への闘いを、黒は国民を表しているそうです。
<ザンビア国旗>
「ザンビアと言えば銅」と言ってよいくらい、ザンビアと銅は切り離せない関係にあります。ザンビアの地は、19世紀の末、南アフリカに本拠を置くイギリス人セシル・ローズ(Cecil Rhodes)の経営するイギリス南アフリカ会社が治めることになり、やがて1924年には正式にイギリスの保護領「北ローデシア(Northern Rhodesia)」となるのですが、この名はもちろん彼の名に因んだものです。セシル・ローズはすでに南アフリカのダイヤモンド鉱山で成功を治めていましたが、この地域の鉱物資源にも大きな関心があったようです。19世紀末か20世紀初頭には初めて銅の鉱床が発見されたと言われています(もっとも現地に元々住んでいる人々の間では銅鉱床の存在はつとに知られていたようですが)。そして、1964年にザンビアとして独立するに至るまで、北ローデシアの経済の中心は銅鉱業でした。現在でも、ザンビアは世界有数の銅産出国で、銅鉱石の埋蔵量、銅鉱石と銅の生産・輸出とも世界ベストテンに入っています。私どもの大使館の正面玄関前にも、銅鉱石がオブジェとして置かれています。
ちなみに、日本もかつては銅鉱石の産出が盛んでした。江戸時代から明治、大正の頃まで日本は世界に冠たる銅鉱石産出国で、銅は日本の主要な輸出品でもあったそうです。また、有名な別子、足尾、日立などの銅山は、日本の産業発展と近代化に大きな足跡を残しました。今では国内の銅鉱山はすべて閉山となっていますが、日本の銅地金や銅製品の生産は世界屈指の規模です。
ザンビアの主要な銅山は、国の中央部北方で、コンゴ民主共和国と国境を接する地帯に集中しています。ザンビアは9つの州に分かれていますが、銅山が集中しているのはカッパーベルト(Copperbelt)州です。カッパーベルトとは日本語にすれば「銅地帯」ということで、コンゴ共和国にまたがるこの地帯は品位の高い(銅含有量が多い)銅鉱床が密集しており、元々英語でカッパーベルトと呼ばれていましたが、それがそのまま州名になりました。さらに、比較的新しく規模の大きい銅山がカッパーベルト州の西に隣接する北西部州でも開発され操業しています。
<ザンビアの9州>
銅産業を中心とする鉱業はザンビア経済にとってとても重要です。銅を大宗とする金属と鉱産物が輸出のおよそ8割を占め、近年のザンビア経済の高成長も鉱業が牽引しています。また、好調な銅の国際価格を反映して鉱業の成長率は約15%と、ザンビアの各産業の中でも突出した高さです。しかし、ザンビアの銅山が国の産業発展にどのように役割を果たしているかといえば、日本の場合とはだいぶ事情が違うように思います。日本では別子銅山を本拠として住友が、足尾銅山からは古河、日立銅山からは日立というように企業グループが発展し、日本産業界の主要な一翼を担っていったわけですが、ザンビアではそうした構図は見られません。多くの主要な銅山は外国資本の企業(合弁を含む)により採掘されており、製錬・精製や金属工業が若干育ってはいるものの、銅鉱業を軸にザンビア企業群が幅広く成長していくという姿にはなっていないようです。これには歴史的な背景など様々な要因があろうかと思います。
こうした事情に対してザンビア政府も政策を打ち出しており、金属工業を育てるなど鉱業の高付加価値化をはかるとともに、農業、製造業、観光業など鉱業以外の産業を振興し、経済を多角化するといった努力をしています。日本は政府開発援助(ODA)によりザンビアの鉱物資源開発の分野に専門家を派遣するなどの協力を行っていますが、同時に、鉱業以外の産業の育成や多角化への協力にも力を入れています。
ザンビアは日本の銅輸入の最大の供給先として大きな地位を占めていた時期もありますが、近年は他国からの輸入が増え、ザンビア銅の輸入はだいぶ減っています。日本とザンビアをつなぐエピソードとして10円硬貨にもザンビア産の銅が使われているという話を耳にしますが、かつてはともかく最近でもそうなのでしょうか。
昨今では銅に代わってコバルトがザンビアから日本への最大の輸出品となっています。ザンビアではコバルトが銅に随伴して産出されるのが鉱床の特徴のようですが、ザンビアは、埋蔵量、生産量とも世界5指に入るコバルト大国です。コバルトはいわゆるレアメタルの一つで、近年は携帯電話などに使うリチウム電池の材料として需要が大きく伸びており、ザンビアは日本にとってコバルトの重要な供給先となっています。
<ザンビア国旗>
ザンビアの主要な銅山は、国の中央部北方で、コンゴ民主共和国と国境を接する地帯に集中しています。ザンビアは9つの州に分かれていますが、銅山が集中しているのはカッパーベルト(Copperbelt)州です。カッパーベルトとは日本語にすれば「銅地帯」ということで、コンゴ共和国にまたがるこの地帯は品位の高い(銅含有量が多い)銅鉱床が密集しており、元々英語でカッパーベルトと呼ばれていましたが、それがそのまま州名になりました。さらに、比較的新しく規模の大きい銅山がカッパーベルト州の西に隣接する北西部州でも開発され操業しています。
<ザンビアの9州>
こうした事情に対してザンビア政府も政策を打ち出しており、金属工業を育てるなど鉱業の高付加価値化をはかるとともに、農業、製造業、観光業など鉱業以外の産業を振興し、経済を多角化するといった努力をしています。日本は政府開発援助(ODA)によりザンビアの鉱物資源開発の分野に専門家を派遣するなどの協力を行っていますが、同時に、鉱業以外の産業の育成や多角化への協力にも力を入れています。
ザンビアは日本の銅輸入の最大の供給先として大きな地位を占めていた時期もありますが、近年は他国からの輸入が増え、ザンビア銅の輸入はだいぶ減っています。日本とザンビアをつなぐエピソードとして10円硬貨にもザンビア産の銅が使われているという話を耳にしますが、かつてはともかく最近でもそうなのでしょうか。
昨今では銅に代わってコバルトがザンビアから日本への最大の輸出品となっています。ザンビアではコバルトが銅に随伴して産出されるのが鉱床の特徴のようですが、ザンビアは、埋蔵量、生産量とも世界5指に入るコバルト大国です。コバルトはいわゆるレアメタルの一つで、近年は携帯電話などに使うリチウム電池の材料として需要が大きく伸びており、ザンビアは日本にとってコバルトの重要な供給先となっています。
<2010年の日本・ザンビア貿易グラフ>
鉱物資源開発のためのザンビアの地質調査は全土の6割程度しか済んでいないとのことで、ウランやマンガン、石油・天然ガスなども将来さらなる開発が見込まれています。日本の独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)も、過去にザンビアの資源探査協力を行っていますが、最近ではボツワナにある同機構のリモートセンシングセンターを通じて人工衛星を使ったリモートセンシングによるザンビアの資源探査やザンビア人技術者に対するリモートセンシング技術の研修などの協力を行っています。
アフリカの資源に改めて世界の目が注がれている折から、最近は商社など日本企業の関係者が当地を来訪する回数も増えています。この6月には、鉱物・エネルギー分野での海外からの対ザンビア投資の拡大を目指すザンビア政府の肝いりで、第1回ザンビア国際鉱業・エネルギー会議が当地で開催されました。世界各国から600名を超える企業や団体関係者が参加し、この分野ではザンビア初の大規模な会議でしたが、日本からも9つの企業とJOGMECが参加しました。
また、日立建機(株)がザンビアの首都ルサカに工場を建設することになり、6月には起工式が行われました。バンダ大統領も臨席された盛大な式で、日本企業がはじめてザンビアに作る大規模な工場ということで、ザンビア側の期待の大きさがうかがい知れました。この工場は、鉱山用の大型機械類の整備や部品再生を行うとのことです。
銅をはじめとするザンビアの鉱物資源をめぐって日本企業のビジネスが活発化し、日・ザンビア経済関係が発展することを期待したいと思います。
平成23年7月25日
駐ザンビア特命全権大使 江川明夫
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