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ザンビア便り号外 「震災とザンビア」

 

 この度の東日本大震災の犠牲になられた方々に対し衷心より哀悼の意を表しますとともに、ご遺族に対し謹んでお悔やみ申し上げます。被災された方々に対し謹んでお見舞い申し上げます。
ザンビアにおいても、この度の震災はテレビや新聞で大きく報じられ、大きな関心をもって受けとめられています。ザンビアでは、アフリカ大陸の安定した地殻構造のためでしょうか、地震はほとんどありません。また、内陸国で海に面していないので、津波の経験もありません。このため、ザンビアの人々にとっては報道される被害の様子は殊更に衝撃的であったと思われます。
バンダ大統領からは菅総理大臣宛に早速にお見舞いの書簡をいただき、また、同大統領は当大使館を訪れ弔問記帳をされました。多忙な大統領のこととて、この弔問記帳についてはその日の朝突然に連絡があり、警備等の関係で先遣隊もすぐに到着したりで、あたふたと受け入れの準備をすることになりました。
カウンダ初代大統領からも同様にお見舞いの書簡をいただいています。カウンダ初代大統領は、ザンビア建国の父といった存在で、1964年独立当時から1991年までザンビアの大統領を勤められました。ご高齢ながら現在もかくしゃくとして活動し、広くザンビア国民の尊敬を集めています。
大使館における弔問記帳には数多くのザンビア政府関係者や一般市民の方々にお越しいただきました。また、数多くの方々から面と向かって、あるいは書簡や電話でお見舞いをいただいています。日本で留学や研修をしたことがあるザンビアの人々には、日本を第2の故郷だというふうに思っている人が多くいますが、こうした方々から心底からの心配と同情をいただき深く心に染みる思いがします。
義援金もいただいています。NGOCC、日本語にすれば「NGO連絡調整協議会」とでもいうところでしょうか、約180のNGO団体を束ねる組織の代表一行が当館を来訪し、義援金をいただいたことは強く印象に残っています。ザンビアはいわゆる後発開発途上国であり貧困の克服が大きな課題となっていて、一日1ドル未満の生活費で暮らしている絶対的貧困層が国民の4割近くもいます。NGOCCには社会福祉などで活動する様々なNGO団体が加盟しており、中には大使館の草の根無償資金協力を受けている団体もあります。各団体いずれも財政状況が豊かというにはほど遠く、この度いただいた義援金は、それこそ爪に火を点すような生活の中からわずかでも日本の被災者の役に立ってほしいとして集められたとても貴重なお金です。そんなことが頭を過ぎり、私は義援金を手渡していただいたとき、有り難さもひとしおで、心を打たれました。いただいた義援金は日本赤十字社を通じて被災者の方々にお届けすることをNGOCCの皆様に約束しました。
ザンビアでこうして幾多の温かいお見舞いや義援金をいただいたのは、これまで培ってきた日本とザンビアとの友好関係あればこそだと思います。地理的には遠く離れた両国ですが、様々な形で行われてきた協力や交流は着実に両国を近づけています。
さて、日本には80人余のザンビア人が在留していますが(2009年時点の外国人登録者数)、今のところこれらの方々が被災したとの報はないとのことです。
この度の震災は、日本と諸外国との経済交流や貿易にも多大な影響を及ぼしています。ザンビアについては、そうした影響は比較的小さいと思いますが、日本からの中古車輸入が滞るのではないかというのがこちらの人々の関心の一つです。日本からの中古車の輸入はザンビアの対日輸入のおよそ4分の1を占めており、街中で走っている車の多くは日本製の中古車ですが、これまでのところ、特に影響が生じているということはないようです。
ザンビアからの同情と励ましは、震災後の日本の再起と復興の努力に当たって、力と勇気を与えてくれるものと確信しています。

 

平成23年4月1日

在ザンビア特命全権大使 江川明夫