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ザンビア便り第1回 「ザンビアとオリンピック」
東京オリンピックの閉会式の日にザンビアが独立したことは、当ホームページでの挨拶でも触れました。1964年10月24日のことです。イギリスの保護領北ローデシアとして東京オリンピックにエントリーし、10月10日の開会式では北ローデシアの旗を先頭に選手団が行進しました。選手団は12名、参加種目と人数は、陸上2名、マラソン3名、ボクシング2名、フェンシング1名、レスリング2名、水泳2名でした。残念ながらいずれの種目でもメダルには届きませんでした。東京オリンピックのマラソンでエチオピアのアベベ選手が優勝したのは日本では有名ですが、マラソンでのザンビアの成績は46位、54位、57位とあまり振るいませんでした。エチオピアほどではないもののザンビアの首都ルサカも標高1200メートルと高地トレーニングには比較的適しているのではないかと思うのですが。当時の選手達は今60~80歳台のはずです。今度ザンビア・オリンピック委員会を訪問したいと考えていますで、その後の消息などについて聞くことができれば興味深いと思っています。
この日、現地時間午前零時をもってザンビアは独立を迎えました。日本はザンビアよりも時差で7時間早く、閉会式開始は日本時間で当日夕刻でしたので、独立の事実を閉会式にきちんと反映させることができたというわけです。閉会式の入場順序や旗の変更などの対応が必要であったと、東京オリンピックの公式記録で言及されています。新生ザンビアの国旗が東京国立競技場に揚々と翻ったのは、ザンビアの選手団や関係者にとってさぞ誇らしいことだったでしょう。オリンピック史上、開会式と閉会式とで国名が違った唯一の例とされているようです。
ザンビアは、1976年のモントリオールを除き、東京以降のすべての夏期オリンピックに参加しています。選手団の数はここ数回はいずれも10名を下回っています。これまでの獲得メダルは、1984年ロサンゼルス大会のボクシングで銅1、1996年アトランタ大会の400メートル・ハードルで銀1。ちなみに、およそ80の国・地域が参加する英連邦競技大会にはザンビアも参加していて、独立以来通算27個のメダルを獲得していますが、直近の2大会(2006年メルボルン、2010年デリー)ではメダルに届いていません。スポーツの振興はこの国の課題の一つと言えるでしょう。
実は、日本はザンビアのスポーツ振興にも協力しています。2010年、草の根文化無償協力として、ザンビア・オリンピック委員会の要請に基づき、陸上競技場、サッカー競技場、テニスコート等のスポーツ・コンプレックスの整備に約10万ドルの協力を行うこととしました。工事は順調に進んでおり、ほどなく完成する見込みです。また、ザンビア・サッカー協会では青年海外協力隊員(JOCV)が技術指導を行っています。
ところで、ザンビアでは柔道と空手も盛んに行われていて、それぞれ連盟があります。柔道では、毎年、「日本大使杯」の大会が催されています。警察や軍では組織的に柔道が取り入れられており、大会でも好成績を収めています。こちらも日本の文化無償資金協力で畳や機材などの整備に協力しています。青年海外協力隊員も柔道の指導を行っています。2010年11月、この日本大使杯大会の終了後に、公邸に関係者を招待して懇談会を行いましたが、出席してくれたスポーツ・青少年省の職員が、ザンビアにおける青少年のスポーツ振興の必要性について熱心に語っていたことが印象に残っています。空手も多くの流派が道場を構え、毎年、流派の垣根を超えて全国大会が行われています。
日本の伝統である武道がザンビアで根付いているのはとてもうれしいですし、大使館としてもこのことを大事にしていきたいと思います。スポーツや文化面での交流は、国と国との関係の幅を広げ、相互理解を深める上でとても重要だと考えています。
平成23年3月10日
駐ザンビア特命全権大使 江川明夫
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